「ぐうっ、ふううぅっ、ンう゛ッ…!!」
「力を抜いてって言ってるでしょ」

 呆れたように言い聞かせながら審神者が髭切の後ろでぐちぐちと指を動かす。丁子油をたっぷりと纏った指は悲しいかなあっさりと肛門をくぐって侵入を果たした。油などどこから取り出したのだろう。最初から髭切の意図を見抜いていて、返り討ちにするために用意していたのだとしたら恐ろしい女だ。

「そう抵抗しなくとも、すぐに気持ちよくなるわよ」
「ゔっ、だまれ、よくも僕に、こんな真似をっ…! 許さないぞ…!!」
「んー、このあたりかな。それとも、こっち?」

 喚く髭切を無視して審神者は細い指でぐねぐねと腸壁を捏ね回す。狭い肉襞の連なりを探っていた指が、唐突にコツンとなにかに触れた。途端、ビクンと腰が跳ねておかしな感覚が走り抜けた。

「ひあああっ?!?!」
「ああ、やっぱりね」

 彼女は宝物を発掘したかのように声を弾ませながら、トントンとリズミカルに髭切のそこを叩いていく。さっきまでとは格段に違う、なんだこれは。未知の感覚に髭切は涙ぐんだ目を見開き顎を反らせた。勝手にひくひくと震える喉からは仔猫のような甲高い声が漏れる。丁子油のせいかじわじわと熱を持ち始めた内側が、些細なはずの刺激さえ丹念に拾い上げる。


「ああぁ、あぁっ……なにこれぇ…」


 萎えかけていた性器が再び太く育っていく。内に入り込んできた異物を追い出そうと収縮していたはずの腸襞は、いまや歓迎するかのように細い指を咥え込んでうねっていた。

「体が火照ってきたでしょう? さっきよりずっと気持ちよさそうな顔になってる。もう一本挿れるわよ」
「やっ、あ、待ってぇ…!!」

 新たな指がにゅるりと穴の縁に引っ掛かり、ぬちぬちと焦れったいほどに入り口をほぐしてから中に入ってきた。柔らかくなった肉襞は審神者の指に吸い付くようにちゅうちゅうと締まり、体の内側を撫でられる感覚に震えが走る。耐えられなくなって身じろぎをすれば、へそを向いて屹立した陰茎の先から、ぽたぽたと透明な汁が滴った。髭切はそれを見て愕然とする。まさか、尻の穴に指を突っ込まれて感じているなんて。なにかの間違いだ。刀であり男体である己が、か弱い女性に貫かれて喜んでいるなんてーー。

「ここね、男の人だけにある性感帯なの。いっぱい苛めてあげるからお尻でイけるようになろうね」
「んっああ?! ああああぁーーーっっ?!」

 二本の指がぐりぐりぐりっと腹の中の膨らみを押しつぶす。目の前がちかちかするような感覚に髭切は背を反らしガクガクと手足をわななかせた。それは錯覚でも勘違いでもない、紛いなき快感だった。本能に揺さぶられるままにカクカクと無様に腰を振ると、ぴゅるるっと先走りの汁が飛び散って床を濡らす。もはや体裁もかなぐり捨てて喘ぐ髭切をさらに追い込むように審神者は指を擦り付け、ぷっくらと腫れた前立腺を体内で弾く。

「ああぁああーーっっ!! やらっっああんあああ゛あ゛あああッッ!?!」
「うんうん、気持ちいいねー。おちんちんもぷるぷるしちゃって可愛い。お尻弄られるの気持ちいいって言ってごらん」
「やあっあっあああちがうぅ、きもちよくにゃいっ!!」
「仕方ないわね、じゃあこっちも弄ってあげる」

 彼女はおもむろに呟くと、髭切の腹の前で血管を浮き出し反り返っている肉棒に手を伸ばした。赤黒く充血した竿にひんやりとした指が巻き付く。突然の刺激にひいっと悲鳴を上げた髭切だが、間髪を入れずに硬い肉棒を摩擦されて哀れな鳴き声が続いた。
 竿を扱かれながら腹の内側を捏ね回されると快感が倍になるどころではなかった。自分で慰めたときには感じたこともなかった快楽がぐるぐると巡って、あっという間に絶頂へと導かれていく。開きっぱなしの口からは涎が垂れ、源氏の惣領刀として聞くに耐えない喘ぎ声がひっきりなしに漏れる。羞恥心と屈辱。それすらも興奮を掻き立てる要素になるのだからたまらない。

「ああああっあぁ止めてえっ!! やめてぇっ!!んーっっ!!」
「おちんちんもお尻も気持ちいいでしょ? ちゃんと言えたらイかせてあげるわよ」
「やだっ、イかにゃい!! きもちよくにゃあああああっ?!?!」

 生意気ね、と呟いた審神者が唐突に鈴口を抉った。どろどろと我慢汁を垂らしていたそこを繊細な指で擦られて、勝手に背中が引き攣り目を剥いて絶叫する。きゅうううと射精に備えて玉が持ち上がると共に、腹の中で刺激されていた前立腺が一際大きく膨らんだ気がした。弾力のあるしこりを二本の指が挟み込んで前後に圧迫する。執拗にそこを嬲りつつ、髭切の腰が突き出すタイミングを合わせて鈴口を攻められ根元から竿を扱かれる。込み上げてくる絶頂の予感を必死に殺すが、これ以上我慢したら頭がおかしくなってしまいそうだ。


「んひぃいいっっやらっでるっっ出ちゃううぅ!!」
「イっちゃうの? お尻の穴苛められて気持ちよくなっちゃう変態さんね。どこが気持ちいいのか言ってごらんなさい」
「あああぁ、あ、きもちぃ…! おちんちんもおしりもきもちいよぉお…! 出ちゃうっ、もうせーし出させてぇっっ!」
「よしよし♡ よくできました。さあ好きなだけおちんぽみるく出しなさい♡」
「んおっお゛おおおぁああぁいくいくイきゅーーっっ!!!」


 びゅるるるるっっと勢いよく白濁が射出され、爆発するような快感に貫かれる。これほどまでに深い絶頂は初めてだった。髭切の背が弓なりにしなり、蜂蜜色に蕩けた目玉がぎゅるんっと天を向く。全身を痙攣させて意識の果てまでぶっ飛ぶような快楽に打ちひしがれていたが、射精の勢いが衰えたころに再び尻の中で蠢くものがあった。

「うっお゛ぉ…?! おしりやめ、うごかさないでへえっ…!!」

 哀願虚しく、まだ絶頂から抜け切らない髭切を審神者は容赦無く嬲り始める。掻き回される腸壁はひくひくと震えて審神者の指に絡み付き、さっきよりも格段に柔らかくとろけていた。萎えかけた陰茎が強制的に勃起させられ、精液の名残が力無く床に滴った。

「ああーっ……やだっっ、くるしっ…! もう気持ちいいのいらないっっ!!」
「まだまだよ。今度はおちんちんを使わずにイく練習をしましょうね」
「え、や、あああっっ?! なんれ、乳首さわるのぉっ…?! あ、あ、おかしいよっ、ぼく乳首なんかじゃ感じないのにっ…!」

 陰茎を扱いていた手が胸の先端に伸びる。自身が放った精液をぬるぬると塗りつけられながら、ピンと尖っていた乳首を弾かれた。爪の先で左右に引っ掻かれたり指の腹で軽く潰されたり。たったそれだけで胸から背筋に抜けて快感が走り、下腹部の熱を増幅させていく。尻と乳首が快楽の糸で繋がってしまったかのようだった。さっき欲を放ったばかりの陰茎は早くも完全状態になり、くぱくぱと開閉する尿道からおびただしい量の我慢汁を垂れ流している。布団の上には水溜りができていた。

「おっぱいでも感じるようになったわね。乳首もこんなに大きくなって。もしかして以前から自分で開発していたの?」
「んにゃあっああああ…してないよぉ…!ちくびなんてきもちよくないはずなのにぃ…!!」
「じゃあ天性の才能ね。髭切には雌堕ちする才能があったのよ」

 審神者はおもしろおかしく乳首をつねり上げて笑った。髭切の目から涙がこぼれ落ちる。痛みのせいだと思い込みたかったが、むしろその痛みがスパイスのように気持ちよさに拍車をかけていることは否めなかった。しかも先ほど彼女に乳首をおっぱいと呼ばれたことが羞恥を煽り、きゅんと孔が窄まる。そのあとにはなんと言われたっけ。そうだ、雌堕ちだ。源氏の宝刀に対して『雌』に『堕ちる』だなんて。プライドがずたずたに引き裂かれていく心地がしたが、ひとつ、またひとつと矜持を打ち砕かれていくたびに、破滅的な快感が伴うのもまた事実だった。おかしい。こんなはずじゃなかった。受け入れがたい現実に気が遠くなるが、審神者が親指と人差し指で乳首を挟んでクリクリっと捏ね回してきたのでたまらなかった。

「あああぁあぁッッきもちぃーーっっ!! また出ちゃうっ!! ちくびつねられてイっちゃうよお…!!」
「こんないやらしく膨らんだ乳首はおっぱいと言うのよ。女の手におっぱい苛められてお尻を掘られて、勝手におちんちんパンパンになっちゃうなんて、髭切はとんだドマゾの変態さんね」
「やぁっああああ! ぼく、変態じゃない…!! あ、あんっ、おっぱいきもちぃ…!! おちんちんイく、イくうぅぅぅ!!」

 ガリッと乳首を引っ掻かれた瞬間、さっきと同じくらいの精液が弧を描いて噴き出す。がくん、がくん、四つん這いになった手足が今にも崩れそうに痙攣するが、審神者の命令によって縛られているので布団の上に倒れこむことができない。喉を震わせながら甲高い悲鳴を上げ、びゅる、びゅくっと精液が通るたびに襲ってくる快感に耐える。だらしなく突き出した舌からは犬のように涎が垂れ、もはや髭切の真下の布団は彼が放った色々な体液によってびしょびしょになっていた。短時間で大量に射精したので腹筋が痛み、内腿もぷるぷると震えてもう限界だと訴えている。ようやく絶頂の波が引けば疲労感が全身を包んでいた。萎えた陰茎はこれ以上なにも出せないと言わんばかりに小さくなって垂れ下がる。疲労困憊しきった髭切の姿に、さすがの主も許してくれるだろうーーと淡い期待を抱いた。


「うん。たくさん射精できたわね」


 優しい声で褒められ、ああ良かったと思った矢先、審神者の手が萎えた陰茎を掴んだ。イッたばかりで敏感になっているそこを、あろうことか強い力で握られ、一瞬で夢見心地の気分から覚める。

「次は潮噴きの練習しようね♡」
「やっ、なに?! ひぁッああ゛ぁぁああぁあーーー?!?!やだやだっうわぁああああっっっ!!」

 柔らかくなった竿を手のひらに包まれて無理やり扱かれる。快感よりもくすぐったさと痛みに近い感覚がぞわぞわと背を這い上がり、腰から力が抜けていった。彼女の指が執拗に亀頭を責めつつ鈴口の割れ目をなぞる。さんざん精液を吐き出した竿はいくら刺激を受けても勃たなかったが、次第に感覚が麻痺してきて、じんわりと下腹部が熱くなってくる。熱い、痛い。これ以上は死んでしまうと思った頃に尿意に似たなにかが急速に込み上げてくる感覚がした。


「ああぁーーっっやらっっ漏れるっっもれちゃうからっっ!!! やめてぇっゆるしてっっ!!」
「いいよ、漏らして♡ ほら、出しなさい」
「うあぁあぁああっっ!!でりゅっんおおぉ゛ぉッッ!!!」


 ぷしゅぷしゅっっとなにか透明な液体が噴き出してきたのを信じられないような気持ちで眺める。射精の快楽とは違う放出の喜びに、髭切の白い体は打ち震えた。わけのわからない絶頂に悶絶している間も、審神者は手を激しく動かし続け、びしょ濡れの性器を摩擦する。気持ちよくて苦しくてもう一秒だって我慢できない。濁った喘ぎ声はいつの間にか嗚咽に変わっていた。

「うえ、え゛ぇっく、も、やだよぉ、折れちゃう、うっ、ごめんなさい、ゆるして……」

 涙と涎でぐちゃぐちゃになった顔を恥じる余裕もなかった。ごめんなさい、ごめんなさいとしおらしく繰り返しながら主人に許しを乞う。髭切の願いが通じたのかようやく審神者は陰茎から手を離してくれた。解放されたそれは本来の役割を忘れたかのように情けなく萎み、当分使い物にならなそうだった。もはや髭切を鬼斬りの妖刀たらしめる威厳はどこにもない。
 ふいに、腹の中を圧迫していたものが抜ける。忘れていたが彼女の指が二本、尻穴に入ったままだったのだ。ああ、とうとう楽にしてもらえる。もう二度とこんな気持ちよくて苦しいことは御免だ……と考えていたら再度後ろに指が触れた。

「ひいっ…?!」
「あー、そろそろ三本は入りそうね」

 髭切は青ざめた。さっきより増えた指がぬぷぬぷと体内へ潜っていく。この女は、鬼か。救いの手を差し伸べてくれと、あの馴染みの天神に泣いて縋りたくなる。いつまでこの地獄が続くのだろうと絶望しかけたが、案外呆気なく彼女は指を抜いてくれた。


「さすがにこれ以上やると壊れちゃうかもしれないからね。今日はこれくらいにしておいてあげるわ」

 生気の抜けた顔に魂が戻る。ああ、良かった! 尊大に言い放たれた言葉に素直に感謝したが、どこか含みのある言い方が引っかかる。

「お尻の穴がちいさくならないうちにまた開発してあげる。そうね、明日の夜私の部屋に来なさい」

 があん、と頭を殴りつけられたような衝撃に凍りつく。唖然とする髭切を見て彼女はくすくすと喉を鳴らした。


「私これでもあなたのこと気に入ってるのよ。かわいいペットになるまでたーっぷり可愛がってあげる♡」


 ああ、法悦の夜はまだ続くのだ。とんでもない女に手を出そうとしてしまったと改めて悔いる。今夜は乳首と尻の快楽を教えられ、明日はどんな責めをされるのだろうか。ぶるりと裸の背筋が震える。それは期待か、恐怖か。髭切の瞳を覆いつくす絶望の中にほんの一筋の光が灯っていたことに、彼自身も気づいていなかった。
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