審神者になる前に同期の新人たちと一室に集められ、政府の役人から説明を受けた。現世を離れ、戦争に従事するにあたっての心得は数十とあったが、中でも「刀剣男士と一線を越えてはならない」と何度も釘を刺されたのは強く記憶に残っている。
 曰く、彼らの美貌と甘言に籠絡された過去数多の審神者たちは、体を許した瞬間に主従が逆転してしまったのだと。
 美しい人型の付喪神。しかし本質は人殺しの道具であり、血を好み、人間の倫理の外に存在するものである。基本的に主に対して忠実に振る舞うが、それは魂に刻みつけた契約があってこそ。一度その身を明け渡せば、主従の契りは簡単に覆されて、骨の髄までしゃぶり尽くされるだろう。政府重役に滔々と諭され、空恐ろしい心地になったのは言うまでもない。
 審神者が使役するのは人智を超えた存在。ゆえに彼らを縛る言霊が必要不可欠なのだ。

 そう、分かっていても。


「主、起きているか」
「……また来たの、膝丸」
「ああ。君がいないと駄目だ。不甲斐ない俺を慰めてくれ」

 まるで恋人同士のように背中から抱き締められ、熱っぽい目と声で美しい男に求められたら。それが毎夜のごとく続くとなれば絆されてしまうのが人の性だ。

「俺以外の刀と、このような真似はしていないだろうな?」
「……してないよ」

 そうか、と満足そうに唇を釣り上げて頭を擦り寄せてくる。日を追うごとに隠しもせず向けられるようになった独占欲に恐れを覚えつつ、膝丸の言う通りに行為を許している自分がいた。
 湿った音と共に耳の下に吸い付かれ、ぞくぞくと震えが走る体を男の腕が優しく締め付ける。

「ね……いつもみたいに、『挿れるのは駄目』だよ」
「ああ……分かっている」

 かろうじて紡ぎ出した言葉が付喪神の動きを縛る。わずかに悔しそうな顔をした膝丸だったが、目を離す直前になぜか牙を光らせて笑った気がした。
 帯を解いて服を脱がす手順も慣れたもので、私はあっという間に裸にされる。じっと素肌を視姦されるのが恥ずかしい。せめてもの気休めに乳房を隠した手はそっと外され、穏やかな声が命令する。

「四つん這いになって尻を向けてくれ」

 もはや褥の中では彼のほうが主人だった。逆らえないのだ。私の中の雌が屈服している。これが数週間前にはオナホを爆発させ自慰ができないと泣きついてきた哀れな太刀だと誰が想像できようか。
 恥辱に耐えながら体を反転させ、下着もなにも身につけない秘部をさらす。脚の付け根をむぎゅうと掴まれて、ぴたりとつけた太ももの間に、熱いものが割り入ってきた。

「ぁ、あ…っ…〜〜♡」
「こら。動いては駄目だぞ」
「っ、はい……あっ、あッ、んぅ、あっ♡」
「まだ何もしていないのに濡れているんだな」
「ゃ、あっ……」

 ぐちゅ、ぐちゅ、いやらしい音を立てながらゆっくりと膝丸の陰茎が前後する。わざと聞かせるように濡れた秘部を擦られて、ドロリと新たな愛液があふれてきて垂れるのが分かる。恥ずかしくてたまらなくて身じろぎをすれば「腰が揺れているな」と笑われる。
 「主のことも善くしてやりたい」と熱心に申し出た膝丸に、挿入は駄目だけどこれくらいならセーフかな……と素股を教えて以来、こればかりしている。犯されるか犯されないかのギリギリのラインを薄皮一枚で繋がっている危機感……良くないとは分かっているけど興奮してしまうのだ。

「気持ちいいか、主」
「っ、ぅっ、あ、あっ……、きもち、ぃ、ああっ!」

 とめどなくあふれる体液で滑りのよくなったソレが、柔らかな肉襞をぬちゅぬちゅと刺激する。ただ表面を擦られているだけなのに、まるで本当に性交しているみたいな錯覚に陥って。がつがつと腰を揺さぶられるたび下半身に甘い痺れが走る。
 荒々しく腰を打ち付けられ、先端のカリの部分が陰核に引っかかって、蕩けた膣口を何度も何度も往復する。硬くて大きなものが股の間を出入りする異物感と快感が混ざり合い、今にも崩れ落ちそうなほど脚がガクガクする。あ、あ、と腑抜けた喘ぎ声を漏らしながら、シーツがよれるほどぎゅうと爪を立てる。

「主、あるじ、……挿れたい…。駄目か」
「ぁっ、だめっ…! いれちゃ、ぁ、ンっ♡ ぁぁあっ♡」
「はあっ、ああっ……挿れたい…挿れたい…っ!」
「あっ、膝丸っ、ぃっ、イく、ゃっ、あ〜〜ッッ!!♡♡♡」

 背中に覆い被されて厚い胸を密着され、手のひらの中で痛いほどに乳房を握りしめられた瞬間、目の前が真っ白になって絶頂する。押し潰された背がびくびくとしなって膝丸の胸にぶつかるけれど、その間も容赦なく腰を揺さぶられ、イッてる最中のそこに陰茎を挟んでずこずことピストンされて獣じみた悲鳴しか出ない、気持ちよすぎて苦しい。

「ぅ、っ……」

 低く押し殺した呻きと共にシーツの上に白いものが散る。それでも押し付けられる熱量は衰えを知らず、硬いままのそれがどろどろに蕩けた肉襞を乱雑に擦る。

「あぁ…主っ♡ 好きだ、好き、好き…っ!」
「あ゛っ、あ♡ ぃ゛♡ とまって、ぇ……♡」

 びゅくびゅくと白濁を飛ばしながらも腰を打ち付ける動きは止まらない。私の体を使って自慰するみたいに激しく前後に擦られて。とうとう腕の力が尽きて布団に崩れ落ちればすかさず膝丸が上にのしかかってくる。ぐるりと反転させられて、イッたばかりで焦点の合わない目と涙やら涎やらでぐちゃぐちゃになった無様な顔を両手で挟んで口付けられた。
 長い舌が上顎をくすぐり、震える唇を優しく吸われて、腰が砕けるような感覚に追い打ちがかかる。

「ん……ふっ?!」

 すり、と下腹部に熱い塊を擦り付けられて、あまりの質量に跳ね上がった。互いの粘液でべっとりと濡れた陰茎がぐりぐりと外側から子宮に押し付けられる。


「君の中にコレを挿れたらここまで届くのだな…」
「…はぁ、はっ……?! ひゃあ…♡」


 赤黒く血管が浮き、ヌルヌルと光って反り立つ凶悪な肉棒をびったりとお腹に密着されられ、パンパンに膨れた亀頭はおへその上まで届かんばかりだ。すごく熱くて、硬くて、こんなものを突っ込まれてしまったらと想像して身震いする。
 このグロいおちんちんでナカをいっぱいにされてさっきみたいに激しく擦られたい。はしたない欲望がむくむくと鎌首をもたげる。


「主、頼む、挿れさせてくれ……」


 だから切なげに請う膝丸の声が魔の囁きに聞こえた。
 さっき射精したばかりだというのに我慢汁のあふれる亀頭をぐりぐりと割れ目に押し付けられて、甘い快感ともどかしさに体が小刻みに震える。ピンと尖った陰核を硬い肉棒でグチュグチュと潰されればたまらなかった。
 きもちいい、もっと、欲しい。目の前がチカチカして甲高い声を漏らしながら、膣口に先端をあてがうように腰をずらしてしまう。
 いれたい。挿れたい挿れたい挿れたい……!

「ほら、君の体だって俺を欲しがっているだろう」
「はあっ、あッ……だめ……あ、あ♡ 先っぽ、はいっちゃう……」
「主が一言俺に許可をくれれば、コレを奥まで埋め込んで、いくらでも好きなところを突いて絶頂させてやるぞ」
「ひ、ッ……!!♡♡♡ ぁ、あ♡ 言わないで…♡ いれたらだめなの…」
「そうか……。だがこれだけは答えてくれ。本当は挿れたいだろう?」
「…い、いれたい……挿れたい! 膝丸のおっきいので、いっぱい突いてほしい…。挿れてーー」

 ほしい。と続けようとしたところで、開いたままの唇が膝丸のそれに塞がれた。

「んーーンッ?!?!」


 ズブプププッッ。

 ナカが無理やり押し広げられる感触。続いて灼熱感と快楽、キュウキュウと締まる下半身から脳みそがとろけるような感覚が這い上ってくる。硬い、太い、なにかが膣内をいっぱいに埋め尽くして、一番奥の行き止まりまで熱い他人の体温を感じる。

「あ、、あ゛っっ……?!」
「……はあッ♡ やっと、主の中に……♡」

 うそ、なんで。駄目って言ったのに。挿れたら駄目だって何回も言霊で縛っておいたのに。
 眉を寄せて熱い息を吐く、膝丸の苦しげな顔が真上にあって。下生えが触れるほどに硬い腰が密着されている。犯された。受け入れがたい現実が頭を殴り、組み敷かれている己を理解したとたんに手足がわななき出した。

「あ、だ、め、抜いッッンンーー?!?!」

 拒絶の声を上げようとした口をまた塞がれる。熱い舌がべろりと口内を舐め回し、息すら止まりそうになるほどに激しくキスをしてくる。抜いて! と訴えようとした言葉は喉奥に引っ込んで、代わりに漏れるのはン、ンと鼻にかかった呻き声ばかり。次第にそれも快感に溶け酸欠の頭の中がぼうっとする。

「ン、むっ……んゔ、っ、ぅ、ぷはっ、やあぁ…♡」
「ん…っ、主の中、熱く絡みついてきて、たまらないな……。そんなに俺のものが欲しかったのか」
「や、ちがうっ、なんで、だめっていったのにぃ…!」
「君が『挿れて』と命じたのだぞ?」
「え、言ってな…ぃ…、あ、まさか、さっきの…?」

 さああっと血の気が引いていく。途中で唇を奪われたせいで『挿れてほしい』と言い切ることができなかった。結果的に前半の『挿れて』だけで終わった言葉は、命令に聞こえないこともない。膝丸はにたりと悪質な笑みを浮かべて嬉しそうに見下ろしてくる。こいつ、最初からそのつもりで計画していたんだ……!

「はは、あの忌まわしい言霊を解いてくれて嬉しいぞ。これでやっと主を犯せる♡」
「バカ、ちがうっ…! あぁっ、抜いっあっあっああああ♡♡♡」

 新たな命令を下そうにもぶっとい肉棒を抜き差しされて言葉なんてふっ飛んでしまう。駄目だ、駄目だ。刀剣男士とセックスしたら人生お終いだ。そう思っているのに背筋がゾクゾクと震えて勝手に絶頂に達する。
 痙攣する膣内を硬く張ったカリで引っ掻かれる生々しい感触。ギリギリまで引き抜かれると柔らかな肉襞が寂しげにうねり、逃げないでと言わんばかりに雄に絡みつく。キツい膣内を掻き回しつつ、ゆっくりゆっくり私の弱い場所を探し当てる男の動きに鳥肌が立った。

「主はここが好きなのだな。少し擦るだけでほら、中が締まる」
「だめっそこだめぇっ! あ、あ…きもちい、だめぇ…いやぁっ…」
「君の『駄目』は紛い物だ。嘘の言葉に念は込もらない。残念だったなあ、主」

 体を起こした膝丸が私の脚を高く持ち上げて邪悪に微笑む。嫌だ、怖い、泣きながら抜いてと懇願するけれど意味がない。膝丸は反り立った陰茎を激しく抜き差しして好き勝手に暴れ回る。汚される。自分が無力な雌で、目の前の雄に犯されて孕まされる“性”だと、体に刻み付けられる。

「審神者は言葉で付喪神を縛る。強大な力だ。だが君は迂闊だったな。力を持っているという油断が身を滅ぼすのだ。最も、俺にとっては都合が良かったがな」

 嘲るように笑いながら容赦なく腰を打ち付ける。私が馬鹿だった、千年生きた刀の付喪神を見くびっていた。後悔と快楽がごちゃ混ぜになりながら膨らんで、ずぶずぶとナカを摩擦される生々しい感触に後押しされ一気に弾けた。
 イってる間も膝丸は止めてくれず、おっきいおちんちんでぐちゃぐちゃになった膣内を苛めてくる。無理やり犯されてるというのに体は勝手に赤ちゃんを孕む準備をして、ぎゅうっと降りてきた子宮口にぶちゅっと亀頭の先でキスされてまたイった。


「あっああ゛ぁ……っ…とまってぇ…♡ きもちいの、もうっ、やだあ……」
「ふ、可愛い、気持ちいいな、主。君もずっとこうされたかったのだろう? いつも俺のものを物欲しげに見つめていたではないか。俺に犯されて満足か?」
「やあ…っ、だめ…! ひざまるは刀で、わたしは主で、セックスしたらいけないのに…!」
「誰がいけないと決めたんだ? 俺と主が想い合って、お互いに気持ちいいなら何も問題ないだろう。俺たちの邪魔する奴は斬ってやろう」


 だから心配ないのだぞと優しい声で囁かれながら頭を撫でられる。違う違うと首を振っても美しい化け物には通じない。ああ、私はこのまま体も心も蹂躙されて食い潰されるんだ。主従の鎖は砕かれて、歯止めを失った付喪神には『やめろ』という言葉は通じない。
 覆い被さってきた膝丸がぐぐっと腰を密着させ、硬い肉棒を根元まで深く咥えさせる。膣内はもうすっかり彼の形を覚えて、ナカを押し広げられる快感にヒクついていた。


「……神も妖も、言葉には忠実だ。一度結んだ口約束は破ることができない」

 男の体に押し潰されて背筋をわななかせている私に、場違いなほど穏やかな声が語りかける。わずかに残っていた冷静な己が目を開けた。

「言葉にはそれほどの力があるのだ。審神者である君なら知っているだろう」
「ン、う……?」
「……そこで、俺も君を言霊で縛ってみたくなった。なに、審神者が使う技のように、命令ではない。愛する主に強引な手は使いたくないからな。俺が問うて、君が応と答えれば、はじめて成立する契約だ」

 三日月型に歪んだ瞳に怯えた顔の自分が映っていた。なにを言うつもりなのか。膨らんでいく嫌な予感に反して、膝丸はとろけるような笑顔を浮かべた。……ああ、格好いい。見惚れるほどの美貌に一瞬現実を忘れるが、そのとたんにズルリと腰が引き抜かれ、


「『孕め』」

「〜〜〜〜っっ!!??」


 思わずうなずきたくなるような甘い声音にゾクゾクと悪寒が走り抜けた。駄目だ、これは。まずい、絶対に答えてはいけない。必死の判断で床を後ずさろうとした瞬間、ズプンッッ!! とさっき引き抜かれた陰茎が勢いよく打ち込まれる。


「ああぁあああぁッッ!!♡♡♡」
「『孕め』♡ あるじ、俺の子を孕んでくれっ♡」


 間髪入れずにパンパンパンパンっとピストンを開始されて床に崩れた手足がガクガクと震え出す。男の体重を乗せてしなるように突き降ろされた肉棒が深々と膣内をえぐり、したたかに一番奥を打ち据える。行き止まりのそこ、あかちゃんのへやをこじ開けるみたいに亀頭の先をぶつけられて。キュンキュンとナカが収縮し、その反り返ったいやらしい形にしがみつく。

「あっあっあぁあ゛♡ いく、イ、ああああぁッッッ!!」
「いいぞ♡ 好きなだけイけ。感じれば感じるほど、妊娠しやすくなるというからな」
「ひっ、や、やだ! あかちゃん、やだ…っ!」
「強情だな。まあいい、必ずや孕むと言わせてやる♡ 主を俺の子の母にしてやろう」

 膝丸は傲岸に微笑むとギリギリまで引き抜いた陰茎を力強く叩きこみ、何度も何度もお腹の内側をえぐってくる。だめ、ここでハイって答えたら、孕まされる。無理やりこどもを産まされちゃう。

「さっきより中が締まったな。興奮してるのか」
「や、あ♡ あ♡あ♡あ♡」

 それなのに気持ちよくて思考が溶ける。下半身の感覚が快感以外なくなって、擦られ続けて敏感になったそこはずっと達しているような心地に包まれる。とろとろに柔らかくなった子宮口は精子をねだるように鈴口にちゅっちゅっと吸い付いている。早く、あかちゃんのたねが欲しいって、子宮が切なく疼いてる。


「ほら、君の体が孕みたがっているんだ」
「ち、ちがう〜〜っ…♡ あんっ、ンっ、うう…」
「此の期に及んでまだ違うと言うか。……だが、俺と肌を重ねるのは好きだろう?」
「や、あぅ……きもちい、ひざまる、好き…♡」
「なら、いつまでもこうして中を突いてやろうか。主が『孕む』と答えるまで、ずっとだ♡」
「ああぁっっ♡ そんな、っ…こわれちゃう♡ も、ぬいてっ、きもちよすぎて、しんじゃう…♡♡♡」


 荒々しく腰を振る動きとは反対に優しく唇を啄ばまれる。上も下も繋がって、気持ちいい、頭の中が多幸感に満たされていく。わけのわからない感覚に恍惚としながら男の背に腕を回し、なめらかな舌を吸い返す。
 熱い肉棒が中を掻き回して、抉って、たっぷり精液を飲ませようと射精の準備をする。レイプされて挙げ句の果てに孕まされそうになってるのに、気持ちいいなんて。

「あああっイっちゃっ♡ や、できりゅ、あかちゃんできちゃう゛っ! い゛っ♡ イぐッッぅッ♡♡♡」
「っ…、そろそろ俺も、出そうだ…いいな? 主の腹に俺の子種を注いでやるからな♡ いまから主は子を孕むのだぞ♡」
「イっ、あ゛……! お、ぉ…♡」
「分かったな? いい加減、返事を聞かせてもらおうか」

 子宮口をずっぷり縫い止められたまま、グリグリと円を描くみたいに恥骨を押し付けられる。イく、またイく。きもちいい、これ以上されたら頭がおかしくなる……もう、お願いだから止まって。この快楽地獄から抜け出せるならなんでもする。

 トドメを刺すように、膝丸が唇を寄せてぞっとするほど低い声で言い放つ。


「主、『孕め』」


 恫喝に近い、無慈悲な命令だった。底冷えするような瞳に射竦められた瞬間、かろうじて保ってきた理性がボキッとねじ伏せられて砕かれる音を聞いた。


「あ……」


 無理だ、敵わない。どんなに逃げても嫌だと言っても、孕まされる運命にある。もう私には、彼の命令にハイと答えるしか残されていない。
 恐怖と、それよりもずっと大きい背徳的な快楽がこみ上げてきて戦慄した瞬間、膝丸は痺れを切らしたように勢いよく腰を打ち付けてきた。


「孕むと言え、主! 俺の子を身ごもると認めろ!」
「ああああああっっっ♡♡♡ はらむ、孕むぅぅっ!!♡ んああッ、ひざまるのせーしでっ、妊娠するっ♡」


 叫んだ言葉がぐるぐると鎖になって私たちに巻きつくような錯覚をおぼえる。ああ言ってしまった、契約してしまった。もう、逃げられないんだ。私は膝丸に無理やりイかされて妊娠させられて、あかちゃんの入ったおなかをぽっこりと膨らませる未来しかない……♡

 膝丸は牙を剥き出して獰猛な笑みを浮かべると、バチンッと一番奥に陰茎をねじ込ませた。キュウキュウ締め付ける肉を掻き分けて、行き止まりの子宮口まで何度も何度も一直線にずぽずぽと抉られる。

「やっと答えられたな♡ 偉いぞ、主。約束通りちゃんと受精させてやるからな♡」
「んおおッぉ…♡ い゛、……ッ、いく、も、くるしっ♡ ひざまるの、あかちゃんうむからっ、ゆるひてぇっ…♡♡♡」
「ああ、出すぞっ…!♡ 孕め、孕め、孕め孕め孕めっっ…!!!」
「あっあああ゛あ゛アアッッッ!!♡♡♡」

 猛然と腰を突き立てられてナカの弱いところをぜんぶめちゃくちゃに掻き毟られる。ぐちゅぐちゅパンパンっと甲高く湿った音、それと獣じみた呻き声が脳内まで犯す。硬い肉棒が子宮口にびったりと食い込み、突き破る勢いでぐりぐりと押し付けられたあと、唐突に灼熱が弾けた。
 びゅく、びゅぐん、どぷどぷ、どぶっ────お腹の中で熱い塊が何度も跳ね、そのたびに雄の獣欲が凝り固まったような白濁の波が流し込まれる。最奥でびくんびくんと息づく脈動が、頭の中を真っ白く塗りつぶして、何も考えられなくなる……♡


「あ、ぁあ゛ッ……、♡」
「…はあ、はぁっ…、主に種付け…♡ これで孕んだな♡ 俺の子を宿す気分はどうだ。嬉しいか?」
「ン、ン…ぁ…、うれしいっ……♡」


 ぼんやりと頭の中が重い、それにお腹も。ぬこぬこと精液を塗りつけるように腰を前後されて、絶対妊娠したなって思いが強くなる。
 疲れ切った体は絶頂の余韻で天国にいるかのように心地よい。むちゅむちゅと唇を柔らかく食まれて幸福感が広がっていく。


「主は今日から俺の妻だな?」
「は、はぁっ……、ひゃ、はい…♡」
「ならば他の奴らのことはどうでもいいな? 刀など一振りあれば充分だろう?」
「ん…?? うん……うん♡」

 膝丸がなにか語りかけてくる、その言葉の意図も読み込めなければ、当然そこに隠された口約束での『契約』に気づくこともできなかった。なにもかも気持ちよくて、ふわふわして……こくこくとうなずくことしかできない♡

「くだらない現世のしがらみは全て忘れろ。俺の番いとして生きてくれるか?」
「うんうん…♡ 膝丸、すき……」
「ふふ…可愛いな。少し眠るといい。後片付けは俺が済ませておくぞ。産まれてくる子どものためにも、静かな土地を用意せねばな」
「ん…♡」


 理解できぬまま穏やかな声に返事をすると、膝丸は心底嬉しそうにくすくすと笑った。
 それを聞いて私も嬉しくなる。答えるたびになにか、しなやかな、重く湿った鎖のようなものが巻きついてくる気がしたけれど、きっと夢に片足を突っ込んでいるせいだろう。ぽやんぽやんとして意識が薄れていくーー。波に洗われる砂の城のようにサラサラと記憶が消えていく。

 優しく頭を撫でられて目を閉じる。恍惚とした幸せな気持ちにふと、一雫の墨を落としたようにぽつりと不安が滲んでいったが、すぐに微睡みの中に消えていった。
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