※3P強姦

 仰々しい門扉が開く重い音。
 三日ぶりに城門をくぐった遠征部隊を迎えるため、手隙の刀剣たちが集まっていた。
 私が遅れて出てきたときには、部隊長が袋いっぱいの資源を近侍へ手渡しているところだった。
 こちらに気づいた彼がぱっと顔を明るくする。

「主」

 愛しげな笑顔に胸が痛いような心地になりながら笑みを返す。合わす顔がないというのが正直な心境だった。

「…おかえりなさい、膝丸」

 膝丸をはじめ、隊員たちは多少の疲労がにじむ姿だが目立った負傷はない。長い遠征お疲れさま。
 空腹や疲労を訴える彼らにまず羽根を伸ばしてもらうことを勧め、各自休息を取ってもらうことにした。
 解散していく刀剣たちを見送っているとふいに頭上に影が落ち、膝丸が私をのぞきこむ。

「主。報告は部隊長の俺が務める。…あとで部屋に向かってもいいか」

 暗にほのめかされた誘いにぞくりと背筋が震え嫌な汗が浮かぶ。

「そ、その…今日は、ちょっと、体調が悪くて…」

 引き攣った顔で苦し紛れにそう答えると、膝丸は目を見開いて血相を変える。

「そうだったのか? ならば無理して出迎えに来なくてよかったのに。要らぬ手間をかけさせたな」

 心配そうな目で上からのぞきこみ、優しく背を撫でてくれる。騙しているのが心苦しく、温かな声音に罪悪感をおぼえる。

「結果は近侍に報告しておこう。君は部屋でゆっくりしているといい」
「うん…ごめんね、膝丸」
「いや、気にするな…。ひと段落したら俺が看病しに行くから安心して寝ていてくれ」
「そっそんな! 膝丸だって遠征帰りで疲れてるだろうし、看病なんてしなくて大丈夫だよ…!」
「心配要らない。俺は君のそばにいるのが一番癒されるのでな」
「い、いやっ…ほんとに、大丈夫だから…そっとしておいてほしい…っ」
「…? どうしたんだ。…まあいい。とりあえず湯浴みをしてくる。汚れた体で君を抱きしめるわけにはいかぬからな」

 膝丸は眉をひそめたがその不審そうな表情も一瞬で消え、ふわりと微笑むと私の背を押し本丸へと歩き出す。本当ならすぐにでも抱きつきたいほどに大好きな恋人なのに、今日ばかりはそうもいかなかった。
 熱い。お腹が疼いて仕方ない。二人連れ立って庭を歩く最中、ぽつりぽつりと何気ない会話を交わすが、二振り目につけられた淫紋が熱く煮えたぎって気もそぞろになる。上がりそうになる息を必死で抑え平静を装って接するが、これ以上はボロが出ないようにする自信がなかった。
 屋敷の中に入ってから膝丸と別れ、早々に自室へと引き上げる。周りに人がいなくなって安堵したと同時に畳の上に崩れ落ち、そのまま動けなくなった。全力疾走したあとみたいに息を切らし胸はばくばくと鳴る。

 今朝からずっとこうだ。

 シャツをめくれば鮮やかなピンクに色づいた紋が腹部を彩っている。脈打つように濃淡を変える竜胆と扇の模様が膝丸の所有印であると物語る。
 なんて説明したらいいのだろう。震える手でそこを抑えながら朦朧とする頭をはたらかせる。
 一振り目も二振り目も同じ膝丸であるから紋の形も同一だ。この紋は一振り目の膝丸が遠征に出たあと勝手に浮かんできたことにしようか…。二振り目に犯されて刻まれたのだと正直に話したら、ブチ切れて斬り伏せてしまうかもしれない…。練度の差は歴然だ。
 呻きながら思案していたため、障子の前に現れた影に気づかなかった。

「主さん、体調悪いんだって?」

 近侍の乱だ。膝丸さんから聞いたよ、と心配そうに声をかけてくる。飛び上がりそうになった。

「あ、あ、うん…ちょっと…その、お腹が痛くて……」
「えーっ大丈夫?! そういえば一昨日くらいから具合悪そうだったよね…風邪かなあ?」

 気を使っているのか障子越しに話しかけてくれるのがありがたかった。火照った顔を見られたくない。

「夕ご飯おかゆにしようか? 辛かったらここに運んできてあげるよ」
「う、うん……」
「あとで薬研に頼んで薬湯煎じてもらうね。おだいじに」

 なにかあったらいつでも呼んでねと言い残して乱は去っていった。うう、善良な刀剣たちに嘘を吐くのが心苦しい。でもまさか発情し続けて辛いのだとは言えないし、どうしたらいいんだ。
 なんでこんなに辛いのか薄々勘付いてはいた。昨日まで激しく求めてきたのに、今日は嘘のように二振り目の膝丸が接触してこない。認めがたいことだが彼と交わって精を注いでもらうと疼きはいったんおさまる。紋が霊気に呼応するせいだろう。今日は二振り目とセックスしていないから辛いわけで、一定時間ごとに彼と交わらないと駄目な体になってしまったようだ。

 頭がぼーっとする。桃色の靄がかかったように。


 シたい。


 ううん。だめだ。
 首を振って否定するが、それでもむくむくと広がる雲のように湧いて出るのがはしたない欲求だった。
 えっちすれば楽になるんだ。
 このもどかしさから解放されるだけじゃない、意識が飛んじゃうくらい気持ちいい世界に浸れる。紋をつけられてから体は敏感を極めていて、ただ撫でられるだけで挿れられるだけで、何回もイッてしまう。

 セックスしたい…。膝丸のを挿れられたい。二振り目の膝丸に奥まで突っ込んで犯してもらいたい。中に濃いのをいっぱい注がれて満たされたい。
 しかしまだ理性が完全に消え失せてしまっているわけではなかった。
 布団にこもり、煮えたぎる腹部を抱えて丸くなっていたが、お腹が痛いと言った手前都合がよかった。配膳にきた乱や薬湯を渡しにきた薬研を早々に引き上げさせ、誰にもバレないようにひとり部屋で悶え続ける。灯りを消して早めに寝付いたことにして皆の目を欺こうと決意し、力を振り絞って布団から這い出たところだった、襖が開いたのは。

「主……大丈夫か」

 着流し姿の膝丸が心配そうに部屋に入ってくる。
 見れば湯たんぽと温かいお茶を持ってきてくれたらしい。

「ひ、ひざまる」
「遅くなってすまない。具合はどうだ」

 慌てて布団に引っ込んだ私の枕元に腰を下ろし、お茶の乗ったおぼんを畳に置く。
 純粋に心配してくれている膝丸には悪いが、このタイミングでの入室は勘弁してほしいところだった。

「薬研は風邪だと言っていたが……日頃の疲れが出たのかもしれない。このところ多忙だったので無理がたたったのだろう」

 眉を寄せて困ったように微笑む膝丸は風呂上がりなのだろう、髪がしっとりと首筋に貼りつき、白い肌には薄く血の色が透けている。惚れ惚れするような色気とかっこよさに今までとは違った意味で熱が上がる。
 険しいとも言われがちな目つきは今は柔らかく解け、包みこむような暖かな蜜色が私を見つめている。

「君はとても頑張っているからな。…せめて俺の前では気を張らない姿を見せてくれないか」

 なんて優しいんだ。二振り目の膝丸とは大違いだ。いつだって最優先でこちらを慮ってくれる姿勢に涙が出そうになる。これ以上彼を騙しているのが申し訳なくて本当のところを話そうかと思い始めた瞬間。

「……顔が赤いな。熱があるのか?」

 膝丸の手が額に寄せられ、ひんやりした肌の感触が伝わると同時に、そこから全身へ炎が巡るような感覚が走った。

「っっ?!?!」
「主?!」

 びくりと大袈裟に反応した私に、膝丸が大慌てで飛びつく。広がった熱は腹部に集約し、刻まれた紋の形を思い起こさせるようにジリジリと炙る。

「ぁ、ん、ぅう……!」

 あっつい…! 焼けそう、なに、これ、
 まさか、一振り目の膝丸にも反応するようにできているのか…!

「主?! どうしたんだ! どこが苦しいんだ?」

 悶絶していると膝丸が体を抱き上げて必死に呼びかけてくる。彼の手が触れたところからまた電気が流れるみたいに紋を刺激する。

「ん、はっあぁ、さわっちゃだめ…ぁ!」

 無我夢中で膝丸の手を押しのけ突き飛ばすようにして布団から出ると、突然拒絶された彼は目を丸くする。

「はぁっ、はあ、ごめ…ん、ひざま、る」
「主、大丈夫か…!? 本当にどうしたんだ」
「ごめん、ごめんね、だいじょうぶだから…、ちょっと、と、トイレ」

 逃げるように背を向けて震える足を立たせる。襖に縋りつきながらなんとか敷居を跨いだ瞬間、膝丸が後ろから手を捕まえてくる。

「厠に行くのか? 俺が支えていこう」
「いや、ほんとに、だいじょうぶ…!!」
「しかしこんな状態の君を一人にしておけない…!」
「うん、でもね、すぐ戻るからっ…! おねがい、ここで待ってて…!」

 気迫に押されたのか切実さに面食らったのか、膝丸はまだ不安そうな顔をしながらも手を離してくれた。ごめんね、と息だけで呟きつつ部屋を出る。

 ーーあ、つい、体、燃えてるみたい。

 よろめきつつも懸命に足を進める。
勝手に出てきた涙で視界がにじむ。キュンキュンとおなかがうずいて切なくてたまらない。熱く煮え滾ってとろけた穴を埋めてくれるモノが欲しいと本能が喚いている。
 ふるふると小刻みに震える手を壁に伝わせ、おぼつかない足取りで向かった先はもちろん厠ではなかった。
 まだ灯りのついている障子を許可なく開き、転がり込むように中に飛び込む。
 驚いたようにこちらを見やる、さっきまで見ていた彼と同じ顔。

「膝丸……」

 すっかり上がった息はか細く頼りなく、泣きそうな声で彼に助けを求める。

「……何の用だ、主」

 二振り目の膝丸は立って私を見据えるが近寄ろうとはしてくれなかった。淡々とした声と感情のない瞳にぞくっとする。

「…おね、がい、たすけて」

 なんとか膝丸のところまで歩き、男の胸に倒れこむように縋りつく。ガクリと力の抜けそうな体を彼の腕が咄嗟に抱きしめて支えてくれた。
 力無く喘ぐのみの私に膝丸は冷たく口角を吊り上げる。

「奴に、一振り目に慰めてもらえばよかろう」
「や、だ……」
「なぜ嫌なんだ。此処を見せつけてやればいいのに」

 スルリと男の手が下腹部を擦る。そこに焼き付けられた快楽が走馬灯かなにかのように一気に呼び起こされる。
 ぱちん、シャボン玉が弾けるみたいに理性が壊れた。

「ぁ、あ、ひざまるっ……!! いれて…!」

 早く、ここに、突っ込んでほしい…。挿れてほしい。掻き乱してめちゃくちゃにしてほしい。思いっきり濃い精液を中にぶちまけてほしい…!
 セックスしたい、はやく、早く早く早くはやく……!

「一振り目ではなく俺がいいのか?」
「は、そう、そうなの…っ! 膝丸がいいの…!」
「奴を差し置いて俺に抱かれていいのか?」
「いい…! いいから早く、ちょうだい…!」

 もうなんだっていいから早くここにぶちこんでほしい。あの天国みたいな気持ちいい世界に連れていってほしい。
 いつの間にか私の手は彼の下腹部に擦り付けられていた。まだ勃ち上がっていないそこを何度も撫でさすり慈悲を請うように涙目で見上げる。膝丸は狂喜のにじんだ瞳をギラギラと物騒に光らせながら私の顎を掴む。

「俺の目を見ろ」

 言われたとおり、射竦めるような鋭い目を見つめ返す。その目線に縫い止められてぞくぞくとお腹の底から恐怖とも歓喜ともつかぬ戦慄がこみ上げ、同時にあふれ出した汁で内ももが熱く濡れた。

「どうしてほしいのかはっきり言ってくれ」

 声音は優しいが有無を言わさぬ圧力があった。支配される感覚に頭がくらくらする。

「…っ、ひ…膝丸の、……」

 真っ赤になって恥じらい汗やら涙やらを流す私を膝丸はじっと見つめている。

「膝丸の……おちんちんちょうだい…」

 私の体はもう、セックスなしじゃ生きていけなくなってしまった。勝手に発情して股を濡らすどうしようもない淫乱になってしまったんだ。
 そうした張本人を目の前に懇願することをもはや屈辱とも思わなくなっていた。

 笑みの形を作った唇からふっと膝丸が息を漏らした。

「いいだろう、君の頼みなら、好きなだけくれてやる」

 強く肩を押されて畳に押し倒される。はだけた着物の襟を剥ぎ取るように乱雑に開かれ、股の間に割り込んできた強引な男の手に自由を奪われる。
 獣じみた瞳に射据えられるが恐怖はない。今から目の前の雄に貪られるんだと実感して多幸感をおぼえるのみだった。





 とろとろに蕩けきって脱力した体を膝丸が抱き起こし、胡坐をかいた彼の足の間に乗せられる。股に突き刺さっていたものが自分の重みでさらに奥にぶつかり、ぐちゅ、と水と粘膜の擦れる音が立つ。まだ窮屈な結合部に視線をおろせば、深々と食い込んだ太い肉棒の根元に、とろーっと白濁が垂れるところだった。

「ぁ、まだ…膝丸の、おっきい……」

 凝ったような精液を子宮に、膣内に、どっぷりと濃く塗りつけても、いまだに男の剛直は萎えることなく屹立し中を貫いていた。

「…ん、君が、孕むまで…此処に子種を植え付けてやる♡」

 べろっと熱い舌が耳を舐め上げて吐息と共に言葉を吹き込まれる。すっかり力の抜けた頬を手のひらで固定されると、そのまま唇を捕らえられ、ぬるぬると柔らかい舌が口内を動き回る。

「んぅ…ひざ、まる…好き…すき」
「俺も…主を愛している」

 唾液を混ぜながら甘ったるい言葉を交わす。再び目を閉じて深く口付けようとしたとき、

 びゅん、と風を斬る音が耳元で響いた。


「何をしている」

 凍りつくような冷たい一声。
 私と抱き合っていた膝丸の首筋に、冴え冴えとした日本刀の切っ先が突きつけられていた。
 おそるおそる目線を上げる。見たことがないくらい恐ろしい顔をした膝丸……一振り目の膝丸が、今にも殺しそうな雰囲気で二振り目を見下ろし刀を構えていた。
 部屋の空気は一転し、ビリビリと肌が軋むほどの殺気に満ち溢れている。
 しかし青ざめる私の目の前で、膝丸は平然と鼻で笑った。

「遅いお出ましだな」
「貴様……主が誰の女か知っていての狼藉か」

 怒りのあまり腕の筋肉が震え、刀の食い込んだ二振り目の肌からぷつりと赤い玉が浮かび上がる。

「知らぬはずがなかろう。主はお前と抱き合っているときより良い顔をするぞ? 今から再度愛し合うつもりだったのだ。見ていくか?」
「殺してやる……!」

 牙を剥いた膝丸がぐっと腕に力を込める。練度最高の一振り目と、まだ特もついていない丸腰の二振り目とが戦ったところで決着は火を見るよりも明らかだ。

「や…やめて、膝丸!」

 とっさに叫んだが膝丸はぎろりと狂気めいた目で一瞥するだけだった。

「主、止めてくれるな。俺はこいつを許すことはできない」
「俺が折れたところで主の所有権は移りはしない。この印を見ろ」

 膝丸が私の腰を持ち上げて反転させ、ついでに挿入ったままだった陰茎を引き抜いた。一振り目が目を見開く前でどろどろっと糸を引いて白濁液が流れ落ちるのを感じて顔が熱くなる。

「……その紋は、俺の」
「いや。同じ『膝丸』だがこれは俺がつけた印で、お前のものではない」

 下腹部にくっきりと浮かぶ紋様に一振り目の視線が注がれる。子宮の上に刻まれたそれはいまだ冷めやらない発情に色めき、まるで男を誘うかのようにぬらぬらと光っている。
 膝丸は黙ってそれを見ていたがやがて刀を構え直す。

「そんな紋など取るに足らぬな。貴様を殺して、それも消す。主は誰にも渡さない。さあ紋の消し方を言え、それが貴様の遺言だ」

 二振り目がくすくすと笑う。擽るような吐息が耳にかかった。

「残念だが……俺にも消し方は分からない」
「なんだと?」

 その発言に一振り目と私が驚愕する。
 膝丸はゆっくりと私の下腹部に手のひらを這わせ、己の紋の上で止めた。そこを嬲られる快感を思い出した体がびくりと反応する。

「この紋は…俺の霊気を流し込んで刻んだものだ。しばらく俺と接触せずにいると霊気が枯渇し、体が疼いて仕方なくなる。俺を求め俺に反応する、まさしく淫紋というやつでな…」
「御託はいい。さっさと貴様を斬りたいから早く本題を話せ」
「まあ、そう急かすな。十分に俺の霊気で満たされれば紋の疼きはおさまる。つまりだ…常に俺の霊気を取り込んでいれば効力はなくなるだろう。そう考えれば、俺の子を胎に宿せば紋が消えると予測できるな」

 なにを言っているのか理解できなかった。露骨に眉をひそめた一振り目の膝丸が私の代弁をする。

「は?」
「紋を消したければ、俺の子を孕めばいい。まだ浮かんでいるということは此処に宿っていないのだろう」

 そう言って膝丸は円を描くように紋を撫で、その奥にある子宮が彼の体温に呼応してきゅんと物欲しげにうずく。
 膝丸の口調はふざけているようにも嘘を吐いているようにも思えなかった。さすがの彼でも刀を突きつけられている状態でこれ以上軽口を叩く余裕はないだろう。
 一振り目は今の言葉を吟味するように押し黙ったまましばらく紋を見つめていたが、やがて刀を鞘に戻すとこちらに向かって手を伸ばした。

「……なるほどな…」

 脇を掴まれて強い力で二振り目から引き離される。
 腕の中に抱かれながら見上げた一振り目の瞳には暗い炎が揺らめいていた。ふいにその手が荒っぽく下腹部をなぞり、赤く色付いたままの紋を刺激する。

「っ…?!」

 とたんに血液の沸騰するような熱に襲われ、大きく体を跳ねさせた私を見て一振り目はニタリと笑った。

「……やはりな。貴様は詰めが甘い。俺も貴様も同じ『膝丸』として霊気を共有しているのだから、この紋が俺にも反応するのは当然だろう」

 やけにいやらしい手つきで腹を撫でる彼の手から逃げようと身悶えるが、その手は腹部を超えて下生えを掻き分け、どろどろと濡れて体液を滴らせる秘部に至った。
 敏感になったままのクリトリスをピンと弾かれ、ぷっくりと膨らんだ花弁を弄ぶようにぐにぐにと指で挟まれる。

「ひあぁ…っ?! ゃっ、やぁっ…!」
「主。俺がこの忌まわしい紋の呪縛から救ってやろう。あんなやつではなく、俺の子を孕めばいい」
「…んッ?! ゃ、なに、いって…ぅ、ンンっ」
「可哀想に、こんなに中に出されて汚されたのか…。このままではあいつの子を孕んでしまうな。早く掻き出してやられば」

 さっきまで陰茎を咥え込んで広がっていた穴は易々と男の指を飲み込む。
 ずぶ、じゅぶ、水の泡立つような淫らな音を立てながら長い指が膣壁を引っ掻き、塊のように濃い白濁が床にこぼれ落ちて青臭い匂いが鼻先に立ち上ってきた。もがく裸の腰に擦り付けられる膝丸の熱がどんどん硬く勃起していく。

「なぜ逃げるんだ。俺と君は恋人同士なんだから恥じることはないだろう」
「や、だって、ぇ、二振り目が……みてる、前でっ」
「ああ、君は俺の女だと知らしめてやるのにちょうどいいだろう。ついでに君に刻まれた別の男の跡も消してやる」

 縋る気持ちで二振り目を見やれば彼は私が組み伏せられるのを面白そうに見物していて、あろうことかその手で勃起したままの陰茎を扱いていた。目が合うと膝丸は可笑しそうに笑う。

「君が『俺』に犯される様は見ていて興奮するな」

 駄目だ。脳髄まで性欲に支配されきっている雄が二匹、無防備な目の前の雌をいいようにしようと目論んでいる。
 うつ伏せに転がされて、覆い被さる膝丸の下から這い出そうともがくが、さんざん嬲られて力の抜け切った体ではずるずると足を引きずるのが精一杯だった。逃げようとした腰を両手で掴まれて引き戻され、お尻のあたりに固い上反りを擦り付けられる。

「ひぇ…やだ…、膝丸、ごめんなさい…! 浮気するつもりじゃなかったの…ゆるして…!」
「ああ、分かっているさ。これは罰ではなく君を救うためだ、悪く思わないでくれ」

 息を荒げ興奮の滲み出る声で言われても説得力がない。ズリズリと擦り付けられていたそれが濡れた割れ目を開き、ぴたりと入り口に亀頭が押し当てられる。熱い男の体温に塞がれた穴はヒクつくように動きぞわぞわと甘い鳥肌が立つ。

「はは、主……また溢れてきたぞ。嫌だと言いながらもこんなに蜜を垂らして俺を欲しがって、可愛らしい……。ああ…、今からこれで孕ませてやるからな。俺と君の子供だ」
「あっ、ひ、ゃ……、赤ちゃん、要らな、あ、あああああっっっ!!!」

 はちきれそうな先端がぬぷ、と柔襞をめくり上げて入り口を抉り、浅いぬかるみに雄の熱を感じたとたん勢いよく貫かれた。
 肉壁を掻き分けて入ってきた生々しい男の感触が一気にお腹のなかを満たす。こじ開けられた壁はキツく異物に吸い付き、ごつごつした肉棒の形を咥えたとたん間髪入れずにパンパンパンパンッッ!! とピストンを開始される。

「あっあんッあづいっ! ひっ、お゛っ…き……ぃ♡ そこ…!こす、っちゃっ、あっ♡あっ♡あっ♡」
「これが、欲しかったんだろう……?!」

 狭い膣洞を無理やり往復されて悲鳴を上げる。なんの隔たりもなく密着したちんぽがずぽずぽと敏感なところに出入りして、きつい締め付けを物ともせずに引き抜いては、また強引に突き入れ……容赦なく苛めてくる。熱い…固い、きもちいい…そう、これがほしかったの。頭が、へんになる。好きな男のちんぽに生ハメされて孕まされちゃうって、想像するだけで中がキュンキュンしちゃう。

「は、あっ、熱くて、きつくて溶けそうだ…っ…、紋のせいなのか? こんなに絡みついてくるのは初めてだな…! 気持ちいいか?」
「やぁっっ♡ あ、あンンンンっ! 」
「どうなんだ、主、此処は俺に食いついて気持ちいいと言っているぞ…!」
「あ、あ、やぁあっっきもちぃ♡ ひざまりゅの…っっ♡ きもちいいよおっ…♡ あっあっあっあっあっあっ♡」

 みちみちに広がった穴に根元まで太い雄の槍が突き刺さって容赦なく前後にずぼっずぼっと扱かれる。逞しい雄の動きに翻弄されて腰から下が溶けてしまいそう、気持ちいい、頭の中が快楽で焼き切れたようにショートする。

「俺がぜんぶ、掻き出してやるからなっ♡ 奴の子種を此処に残すものか♡」
「やあっっんごめんなさいぃ、二振り目とせっくすして、ひぐッ、ンうう、う、ゆるしてぇ…っ♡」

 やだ、やだ……恥ずかしい。まだ二振り目が出した精液が残っているのに別の男のものでかき混ぜられてるなんてとんでもなく卑猥な気がする。結合部からドロドロした液体が掻き出されて泡立っていくのを感じる。嫌なのに膣内はぎゅんぎゅんとうねり硬くて太い陰茎に吸い付いて、その奥にある子種をねだるように蠕動する。
 両手で腰を鷲掴みにしてピストンを繰り返す膝丸は時折悩ましげな声を上げ熱い息を吐いて気持ちよさそうに腰を打ち付けてくる。柔らかく蕩けながらもきつく締め付ける肉筒で硬い陰茎を扱かれて…、欲を叩きつけられるだけの行為なのに中は喜んで収縮し、男を受け入れて気持ちよくさせて射精させるために出来ているんだと実感させるよう。

「……主。一振り目のモノはそんなにいいのか? だらしなく涎を垂らして善がり狂うほど」

 いつのまにか目の前に来ていた二振り目の膝丸が顎に手をかけ、あふれていた唾液を拭い取りながら顔を持ち上げる。いたぶるように眼を細めるその表情を目にしたとたん本能的な恐怖が込み上げ、しかし凍える背筋とは反対に下腹部の紋は熱く煮えたぎって今にも溶け出しそうになった。

「や、あ、ぁああッ、みないでぇ…!」
「気持ちよさそうな雌の顔だな。はは…、こうして見るとよくあんな太いものを受け入れられるなあ。根元まで咥え込んで嬉しげに腰をくねらせて、君はいやらしいな」

 グチャグチャと音を立てる結合部を見つめられて犯されている姿をまじまじと観察される恥ずかしさに顔が火照る。何度も体を重ねて私の弱いところを知り尽くしている一振り目は、二振り目の膝丸のように荒々しく攻め立てることはしなかった。張り出したカリを上手に使っていいところを抉ってくる。

「あるじ、主のここ…ざらざらしていて気持ちいい。ほら、君も好きだろう?」

 クリトリスの付け根のところを執拗にぐりぐりされて腰が勝手にカクカクと痙攣してしまう。声にならない悲鳴を上げていると二振り目の指が口の中に入ってきた。ぬめる指が舌をつまんで、頬の内側の粘膜をなぞって、閉じられない口からぼたぼた唾液がこぼれる。

「主は口の中も柔らかいなあ。どこもかしこもふわふわとしていて簡単に壊せてしまいそうだ」
「ふあっあぁ…、はッ、はゃあああ…!♡」
「主、こっちだ、二振り目に気を取られるな…。俺に集中してくれ」

 切なげな声が背後で聞こえてふいに下半身に電流が走る。中を貫いている膝丸が勃起したクリトリスを指で押し潰してぐりぐりぬちゅぬちゅと転がしてきた。
 硬く張ったカリで浅い膣壁を引っ掛けながら、大きくなって紅潮してる粒を愛液を絡めた指で責め立ててくる。

「あああぁぁっっひぃっそこだめッッ…♡ イ、イく♡ いっちゃ、うぅ…!」

 クリ潰れちゃうっっ…ちんぽと指に挟まれてぐりぐりされて、壊れる、いっぱい擦れて…おかしくなっちゃう…!

「いいぞ……イけ、主の好きなところいくらでも突いてやるから…っ、俺の手で狂ってしまえ…!」
「達するのか。可愛い顔をよく見せてくれ」
「あっやらあぁっっイぐッ♡ ぅぅんんんん゛っ!!♡」

 ぱちぱち。全身に白い火花が弾けて意識が飛ぶ。
 イッてるのに止まってくれない膝丸が激しく出入りを続行する。うねる膣壁がキツく吸い付くのを無理やり引き剥がし、また強引にこじ開けて、お腹の奥に怒張した雄の感触を刻みつけていく。反り返ったいやらしい形に合わせて中がきゅうきゅう締まる。

「あっ…ぉ゛っ♡ ひ、ぐ…ひんじゃう…ぅうッ♡」
「っ…う、まだ締め付けるのか…、主の中、熱くてキツくて、気持ちいい……もっと締めてくれ…もっと君の中にいたい…」

 膝丸が甘く請いながら絡みつくヒダを味わうようにゆっくりと腰を打ち付ける。
 きもちいい…。頭がぼんやりと麻痺して幸福感に包まれる。好きなひとの一部を体の中に入れてお互いきもちよくなるのって最高だ。膝丸が好き。膝丸にならなにされてもいいの。

「…そろそろ俺も混ぜてくれ。君の顔を見ていたら俺も熱くなってきた」

 二振り目の膝丸がとろんとしたままの私の頬を撫でる。ぱちぱちと瞬きをすると目の前に屹立した肉棒が突きつけられた。これがほんのすこし前までは私の中に入って気持ちよくしてくれたものだと思うとたまらなく興奮する。

「ん……、っ…」

 舌を出して先っぽを舐めたあと、大きく口を開けてそれを咥え込む。熱くて、ぬるぬるで、塩辛さの中に苦みのある、雄の匂いと精液と私の愛液とが混ざったなんとも言えない味が舌の上に広がる。

「ああ…温かい…。だがもっと…ぜんぶ飲み込んでくれ…!」
「んッ!!、んぐっ、ううぅ……♡」

 膝丸が私の頭を抱えてゆっくりと腰を前へ突き出す。太い肉棒が喉のほうまで侵入してくる苦しさに思わずえずくが、弱々しい抵抗を無視してなおも奥に腰を進められる。とうとう下生えが触れるほど腰を密着させられた時には、陰茎の先端が喉奥に食い込んでいた。

「うえ゛ッ…んごっっ…!」
「ふ、はっ、苦しいか? すまないなあ…だが俺はとても心地良いぞ」

 言うなり両手で頭を押さえつけて腰を振りはじめる。おっきくて太いものが口内を満たす。口の中いっぱいに男の肉棒で埋めつくされて上顎も頬の内側もごりごりと削られて苦しくてたまらない、息ができなくて死んでしまいそうなのに、喉を突かれるたびに嗚咽と共にどろっと熱い愛液があふれる。酷く扱われているというのに勝手に興奮する体は膣奥に入っている膝丸をキュッと締め上げて、硬い肉棒が襞にぎゅうぎゅうとめり込んでいく。

「主の口は小さいなあ…ほら、もう奥に当たってしまった」
「おい、二振り目…。主に無理を強いるな」
「無理をさせているのはどちらだか。お前が腰を振るのをやめれば主はだいぶ楽になるだろう」

 上半身と下半身を別々に犯す膝丸たちの声が頭上で聞こえる。前後から男に突き動かされて体が前に押しやられては後ろに戻され、ぎこちない振り子みたいになす術もなく蹂躙される。

 苦しい。きもちいい。苦しい。苦しくて涙が出る。けどやっぱり、すごくきもちいい。

 苦痛と快楽の板挟みのままひっきりなしに欲をぶつけられる。喉奥から引き抜かれた肉棒と共に粘ついた唾液を吐き出すと、代わりに後ろに突き入れられたそれが膣内のいいところをえぐってぷしゃっと汁が噴き出す。
 熱い、きもちいい、イッちゃう。これ以上突かれたら絶頂してしまうと、膝丸に訴えたくても口を塞がれ頭を押さえつけられた状態ではなにも言えない。んぐんぐと喉を震わせるだけで涙ばかり流れる。苦しまぎれに膨らんだ亀頭の先端に舌を這わすと、どろっと鈴口からあふれる塩辛い体液が量を増して生臭い雄の匂いが濃くなる。

「っ、ぅ、イく…主の口の中に…出すぞ…!」
「ん…ン、んぐゥ…ッッ!!」

 膝丸の手が荒々しく頭を引き寄せ、鼻先が陰毛に埋もれるほどキツく密着させて腰を擦りつけられる。口の中いっぱいにねじ込まれた陰茎が跳ね、喉の奥にビュルルッッと勢いよく精液が放たれた。
 喉に貼りつくような感覚に嘔吐感がこみ上げてきて思わずもがくが、がっちりと両手で頭を押さえつけられてびくとも動けなかった。腰を震わせて注ぎきった膝丸がハァハァと荒い息をしながらゆっくり体を離す。にゅるんと引き抜かれた陰茎は唾液と胃液で濡れて光っていた。呼吸が楽になった拍子に咳き込み精液を吐き出そうとすると、急に手のひらが伸びてきてぐっと強い力で口元を押さえつけてくる。

「飲み込んでくれ」
「んゔぅッ…!?」

 低い声で凄まれる。苦しい、吐きそう。恐怖と苦しさで目の前が点滅しながらも大きな手で口を覆われて抗いようがなく、何回もこくこくと喉を動かしやっとのことで苦くて生臭い体液を飲み干した。

「ぅ、え゛ッ……ひっく、うぅ…」

 ようやく解放してくれたとたんに嗚咽がこみ上げてきてその場に崩れ落ちる。

「はっ……はは、主、俺の子種をぜんぶ飲み干してくれたな…♡ すまない…苦しかったろう?」

 膝丸は床に倒れて泣いている私の頬を撫で、うっとりととろけた視線を送ってくる。

「…まったく。主に無体を働くなと言ったはずだぞ。貴様はもう下がっていろ」

 苛ついた一振り目の声が後ろから聞こえて、同時に中に入ったままの彼の存在を思い出した。

「主、可哀想に…辛かったろう。俺が慰めてやるからな」
「え、ひッ……」

 ずるっ、太い肉棒が膣口のギリギリまで引き抜かれて、やわっこい入り口のヒダにぐちぐちとカリを引っかけて苛められる。
 もどかしい。さっきまで満たしてくれていた肉棒を欲しがって中がヒクヒクと動く。やだ。膝丸のおっきくて硬いのを奥まで感じていたいの。
 お尻を擦り付けるように動かすと願いが通じたかのようにゆっくりゆっくりと太い肉棒が入り口から侵入してくる。硬い、熱い、雄の肉棒が体の中を開いていく感覚、逃げそうになる腰を捕まえてずぷんっと重いものが中を縫い止めていく快感に本能が歓喜する。

 グチュ、グチュ、ぢゅぷんっ、ぢゅぷん

 わざといやらしい水っぽい音を立てて抜き差しされる。中も耳も犯されて恥ずかしいのと気持ちいいのとでわけがわかんない。柔らかな壁はキュンキュンと締まって中の雄にしがみつこうとするけれど、とめどなく分泌される愛液のぬめりに助けられて易々と腰を振られてしまう。

「あんっ、あッ…! きもちぃ…♡ んんっ、ひざまるのちんちんきもちいい…♡」
「主…っ、ふ、君は本当に可愛らしい……。必ず孕ませてやるから、もっと気持ちよくなってもらわねばな♡ そうだ…この紋を触ると感じるのだったか?」

 牙をのぞかせて笑った膝丸が下腹部の印を撫で、その瞬間そこに溜め込まれていた快感が爆発したみたいに全身に弾けた。

 頭のなかが真っ白になる。きもちい、淫紋弄られながらおまんこずぽずぽされるの気持ちよすぎておかしくなっちゃう…!

「あぁあああっっ!!! イぐっ♡ イッちゃううぅッッ♡」
「っ、ああ…締まる、気持ちいい…何回でもイかせてやる…ッ…!」

 ガクガクと跳ねる腰を押さえつけて膝丸はなおも淫紋を擦り、刺激に応じて収縮する膣内で肉棒を暴れされる。壊れた玩具みたいに足腰が痙攣してイクのとまんない。

「ぁああ゛あっ、も、らめっ…こわれるっっおかしくなっちゃう!!」
「いいぞ……壊れろ、俺の手で狂ってしまえ!」

 のけ反って喘ぐ私の体にのしかかるようにガンガンと体重を乗せて腰を叩きつけられる。技巧も遠慮もない腰使いは完全に己の欲を発散させるだけの動きなのにちゃんと気持ちいいところを抉ってくる。

「あ♡ あ♡ あ♡ あっ! あぁんそこ、きもちぃ…♡」
「ハァッ、ハァッ……イく…出る、あるじっ…!」

 急に昇り詰めた膝丸が余裕なく股間を打ち付け、一番奥に突きつけたところで荒々しい呻き声と共に体を震わせた。一回り膨らんだ陰茎の先端から煮えたぎるような白濁が吐き出される。

「あ、主っ、はぁっ…ッ、はっ…! まだ、出る…っ、此処にたっぷり出して…孕ませてやるからな…!」
「ぁ、あ゛っ〜〜ッ♡ ひざまるのせいえき…いっぱい出てぇ……♡ おなか、ぁ、あかちゃんデキちゃう…ぅ♡」
「ああッ、俺の子の母にしてやる…! 何人でも産ませてやるからな…!」

 中にあっついのがびゅくびゅくっていっぱい出て。赤ちゃんができる種を植え付けられてる。
 膝丸は止めていた息を苦しげに吐きながらゆるゆると腰を押し付け、最後の一滴まで注ぎこもうとする。確実に孕ませようとする雄の執念のようなものを感じ取って…ぞくっとお腹がうずく。雄の肉棒で、おまんこが乱されて、イカされて…。孕ませるために気持ちいいところを擦り付けあって絶頂するって、すごくえっちで、興奮する。絶頂の快感と、雄に種付けされる興奮で頭が痺れてしまう。

 きもちいい。もっとシたい。大好きな膝丸に挟まれて、犯されて、赤ちゃん孕まされちゃうの。取り返しのつかないくらいいけないことだって理解しているはずなのに、蕩けきった頭では目の前の快楽を享受する以外の選択肢を用意することができなかった。

「……主、まだ終わらないぞ?」
「君が孕むまで解放してやらぬからな」

 左右それぞれの耳に唇を寄せて膝丸たちが甘く恐ろしい囁きを吹き込む。発情したままの淫紋に指の腹を食い込ませてゆっくりと形をなぞられ、おさまる気配のない興奮にお腹の中の火がまた熱く燃え上がった。

「ン、う……膝丸…キて…♡」

 牙を剥いて笑った膝丸たちがまた、私の体に貪りにかかる。
 あれ、どっちがどっちだろう。
 一糸纏わぬ姿になった今、顔も体も同じ彼らを一振り目か二振り目か判別する手立てはなく。二人とも雄の本性剥き出しで楽しそうに笑っていて……そういえばいつから二人がかりで私を孕ませる協定を結んだの?

 いつから?

 走馬灯のように三日前の朝の光景がよみがえる。二振り目の膝丸に犯されて淫紋をつけられて。でも本当に? あれは本当に二振り目の膝丸だった?
 ……遠征に行ったのは本当は誰?


 いつから巧妙な罠に嵌められていた?


 しかし一瞬浮かんだ疑問もすぐに体中を這う男の手に掻き消され、再び襲ってきた快楽の渦に流されてどうでもよくなった。





 弱々しい喘ぎ声と肌のぶつかる音が延々と響き続けている。快楽で焼き切れた脳は時間の感覚なんてとっくに壊れ、心地よい夢の中に浸っているように麻痺したまま。部屋の真ん中に転がされて男二人がかりで犯され続けている自分のことをまるで他人事のように感じる。

「あるじ……ッ、主……出すぞ…受け止めてくれ…!」
「……っ、ぅ、う゛……ぁ、あ゛んっ…♡」

 片足を担ぎ上げて深々と腰を打ち付けていた膝丸が、根本までずっぷりと肉棒を咥えさせて全身を震わせる。脈動に合わせてドプッドプッと濃厚な精をぶちまけられ、容量いっぱいの子宮の中がまた新たな精液で重くなる。
 もう一人の膝丸は乳房に陰茎を擦り付けていた。先端からあふれる汁をぬちゃぬちゃヌルヌルと乳首に塗り付けて伸ばされ、敏感な膨らみを亀頭で潰されるたびにビクビクッと体が跳ねて快感が走る。

「俺ももう…ッ……イく…!!」

 膝丸はぐったりとした私の手に無理やりそれを握らせると数度扱いて絶頂した。勢いよくほとばしった白濁が胸元から顎先までを一直線に染め上げる。
 体じゅう、内も外も汚されて何度達したか分からない。膣の奥深くで吐精を終えたらしい膝丸が埋めていた陰茎を引き抜くと、ぽっかりと口を開けた穴から大量の白濁があふれてきてドロリと熱い感触を生む。


 絶対に妊娠した。どちらのものだか分からない子供を。これだけ胎の中に子種を送り込まれて妊娠していないはずがない。ぼんやりとした頭の中でそれだけが妙にクリアな確信だった。

「……ん、う、今度は俺の番だな」

 立ち上がった膝丸が入れ替わるように股の間に陣取り、何度も何度も精を放ったというのにまだ勃起したままの陰茎をどろどろの穴にくっつけてくる。白濁があふれるそこに先っぽを挿れられると、ぶちゅ、ちゅぷ、水と空気の混ざったいやらしい音がまるでキスしてるみたいに鳴り響いた。

「ん、ん……ひざまる…ぅ…、もう孕んだよお…。おなかのなかに、膝丸のあかちゃん…いるから……。もうおちんちん入れないでえ…」

 無力に太ももを開かれて、見下ろしてくる膝丸におなかを撫でながら哀願する。たぷたぷに精液を注がれた下腹部はこころなしか膨らんでしまっているようだ。
 逃げたくても、ぐちゃぐちゃに貪り尽くされた体では抵抗はおろか体勢を変える力すら残されていなかった。

「……ふむ。それは思い過ごしだぞ、主」

 神妙に首をかしげた膝丸は私の背中に腕を回すと優しく抱き起こし、そのまま膝の上に座らせる。厚い男の胸に身を任せた瞬間、ずぷんっと固い異物が股の中心を貫いて思わずか弱い呻き声が漏れた。

「見ろ、まだ紋が消えていない。俺と君との子がここに宿っていないのだ」
「そ、んな……っ♡ アッ、はぁああ゛っんっっ♡」

 腹部をピンク色に彩る紋を膝丸が愛しげに撫でさすると、まだ快楽を、雄の子種を求めてやまないと主張するかのように柔襞がちゅうちゅうと肉棒に吸い付いた。

「ははっ、君の子宮が俺の子種を欲しがっているぞ? まるで接吻しているように吸い付いて精を搾り取ろうとして…よほど俺の子を孕みたいとみえる。それとも子作りが好きなだけか?」
「ひッ、ち、があ、ぁ゛ッ…♡」
「ほら、また締まったぞ…俺のにキツく吸い付いてこんなに蜜を垂らして。具合のいい肉穴だな」

 くちゅくちゅ、ぐちゅっ

 軽く腰を揺すられるだけで汁気の多い淫らな音が結合部から響く。
 きもちいい、溶けちゃう。ずっとこうして好きなひとと繋がってどろどろにイかされて。無理やりあかちゃん産ませる準備をさせられてるというのに、膣内はまだまだ小刻みに蠢いて、男に犯されるのを喜んでいる。

「んっ…は、ぁ…、膝丸が、大好きなの…」
「ああ……俺も愛している、主」

 愛しげに囁いた膝丸がそっと唇を重ねて、ゆるゆると舌を絡め合う柔らかいキスをする。

「俺にも口付けをくれ」

 顎を取られて振り向いたとたんもう一人の膝丸に唇を塞がれ、同じ体温の舌が優しく口内を這い回る。

「主、愛してるぞ」
「君はずっと俺のものだ」

 同じ顔、同じ体の二人が前と後ろから抱きしめて熱っぽい言葉を囁く。もうどっちがどっちだか。分からない、けれど本当はずっと前から分からなくなっていたのかもしれない。

「ねぇ…、わたしの恋人は、どっち?」

 枯れた声で問いかけるが、彼らは腹の底の見えない笑顔を浮かべるのみだった。
 積み上げてきたものがガラガラと瓦解していくような感覚に陥りながら、ふと二振り目?の膝丸に言われた言葉が頭の中によみがえる。

(一振り目も俺も同じ膝丸だ。魂を共有しているのだから本質は変わらない)

 ああ、そうか。
だったら仕方ない。きっとこうなるのは見え透いていた。

 前後の膝丸から首に、背中に甘く噛み付かれ、最後に残っていた理性を手放す。
 どっちがどっちでも問題はない。こんな所有印までつけられちゃって、子どもを孕むまで犯されちゃうんだもん、諦観と多幸感に似た感情に包まれながら彼らに腕を伸ばす。

「ま…いっか……」


 だってどちらも『私の膝丸』であることに変わりはないんだから。

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