池田屋に出陣していた第一部隊が帰ってきたのはその日の午後だった。
城門を抜けた途端に今剣が「あるじさまー!」と元気に叫び、出迎えにきた私に笑顔で駆け寄ってくる。部隊の他の短刀たちも遅れてこちらに歩み寄りながら、はしゃぐ今剣を見て笑っている。見たところ皆大きな怪我はないようで一安心だ。
抱きついてきた今剣を受け止めるとふわりと花びらが舞った。景趣は春。誉の桜と庭の桜の花びらが混じって華やかに踊り、春の陽気が短刀たちの表情を明るく照らしていた。
「あるじさま! きょうは、おさがしの刀剣をみつけたんですよ!」
今剣がきらきらと瞳を輝かせて私を見上げる。いつにも増してはしゃいでいるのはこのためだったのか。新しい刀剣を手に入れたという彼の言葉に私の胸も高鳴る。
「え、本当?」
「はい! 検非違使をやっつけたらおとしたのです! ふふ、だれだとおもいますか?」
「検非違使? それってもしかして…」
先日、検非違使討伐の際に入手できる刀剣男士が変わったとの話を聞いた。以前は虎徹兄弟であったが現在は源氏の宝刀である二振りであるという。一体どういう事情があって検非違使が隠し持っている刀剣を変更したのかは不明だが、ともかく政府から聞いた情報を信じると、第一部隊が見つけてきたのは髭切か膝丸のどちらかということになる。
恥ずかしい話だが私の力量不足により先の連戦隊の演習ではノルマを達成できなかった。敵部隊撃破の際に稀にドロップする髭切はもちろん、報酬としてもらえる膝丸も入手することができずに正月が明けたのである。検非違使が落とすようになったとはいえ入手確率がものすごく低いことは明らかで、正直源氏兄弟にはご縁がないと諦めていたのだが、そこは流石うちの優秀な刀剣たちである。
「大将、ほらこれだぜ。早く顕現してやってくれよ」
薬研がにやりと笑って差し出したのは、黒地に金の装飾の鞘に収められた、反りの美しい太刀だった。春の日射しに反射して重厚感のある光を放っている様がすでに並々ならぬ気迫を感じさせている。
「ぼくはこの刀剣をしっていますよー!」
嬉しくて仕方がないといった様子で跳ね回る今剣。
「膝丸、です!! よしつねこうのところでいっしょだったんですよ!」
おお、これが本物の膝丸…! 政府に支給されているタブレットで見た刀剣の写真と目の前の刀が重なる。続いて演練でたまに見かける精悍な青年の姿が脳裏によみがえる。人型になった膝丸は別称の通り薄緑の髪をした美しい青年で、持ち前の機動の速さで敵陣に突っ込み力強く相手を叩き伏せる様が演練場でひときわ目を引いた。
聞いた話だと膝丸は相当なブラコン…もとい、兄弟愛の深い太刀であるという。せっかく来てくれたのにこの本丸には兄者がいなくてごめんねと思いながら、私は薬研から太刀を受け取り両手で捧げ持つ。
「膝丸、来てくれてありがとう。どうかこれからよろしくね」
期待に満ちた今剣たちの視線を集めながら霊力を込めれば、手の中で刀剣全体がぽうっと淡い光を放ち、ゆっくりと手から離れて宙に浮く。やがて光は膨らんで人の形をなし、噴き出すように桜吹雪が弾けた瞬間、顕現した太刀がぱちりと目を開けてこちらを見た。
「………あれ?」
これは私一人の声ではない。輪になって一部始終を見守っていた短刀たちの全員が、中央に顕現した太刀を見て唖然としていた。
そこにいたのは青年の姿をした太刀……ではなく、薄緑の髪の短刀……いや、短刀どころの年齢ではない、体に釣り合わない大きな太刀を下げた幼児だった。
「ひざまるだ! ここにあにじゃはきていないか?」
こてんと首を傾げる幼子は利発そうな琥珀色の瞳をして私を見上げる。さらさらした青い髪に黒い上着を羽織った姿は確かに見覚えのある膝丸のミニチュア版。
「え……どういうことなの」
呆然と立ち尽くす私たちを見回し、当の膝丸は「あにじゃはおらんのか…」と泣きそうな顔をする。慌てて私は小さな体を抱き上げ、とりあえず相談しようとこんのすけのもとへと走った。
「刀剣男士の幼児化は珍しくない話です。審神者様の霊力の過不足や付喪神の体の不調・病としてもありえる現象です」
膝丸を抱えて飛び込んだ執務室にて、呼び出しに応じて出てきてくれたこんのすけは淡々と答えた。曰く、幼児化を筆頭に女体化や獣化などの異変に見舞われる刀剣男士の例は多数報告されているという。原因ははっきりと分かっていないらしいが、先ほどのこんのすけの説明通り、霊力の乱れや疲労が引き金となっているというのが有力だそうだ。害のある現象ではないと聞いてひとまずは胸を撫で下ろした。しばらくの期間が経てばあるべき刀剣男士としての姿に戻るので心配は要らないとこんのすけは言う。
「今回の場合は審神者様の霊力不足が原因と思われます。膝丸様は入手が難しい刀剣ですので、そのぶん扱いも難しいのです。刀剣男士の顕現には、その刀剣と同調した適切な量の霊力を注ぎ込む必要があるのですが、おそらく審神者様の今のお力では足りなかったのでしょう」
つまり私の審神者としての能力が低いというわけだ。がっくりと肩を落とす私にこんのすけは慌てて、「審神者と刀剣との相性もありますので、お気になさらず。そもそも膝丸様を入手しただけでも素晴らしいことですよ!」と雑に励ましてくれる。
膝丸は最初こそは私の膝の上に乗って一緒に話を聞いていたのだが、噂を聞いて駆けつけた刀剣男士たちに可愛い可愛いと騒がれて連れていかれてしまった。本丸内を案内してくるぜと膝丸を担いだ鶴丸が言い放ち、短刀や打刀の数振りと共にわらわらと廊下を走っていった。楽しげな声が聞こえるので、お兄さんたちに遊んでもらっているのだろう。
世話をしてくれる刀剣がたくさんいるのは良いことだと思いつつも、いつまで膝丸がショタの姿なのかが気になってこんのすけに向き直る。疑問を口に出せばこんのすけはしばし考え込む仕草をした。
「……そうですねえ、足りないぶんの霊力を徐々に注ぎ込んであげれば数ヶ月で元のお姿まで成長すると思います」
「成長? 一気に戻るのではなく人間の子供みたいにだんだん大きくなっていくの?」
「はい、今回の場合は先天性の幼児化ですからね。肉体だけでなく精神も幼くなっているようですので、審神者様が親代わりになって育ててあげればスキンシップを通して霊力も十分に与えられますし効率が良いでしょう」
「ちょ、ちょっと待って…!?」
親代わりとは。スキンシップとは。一体なんのことを言っているんだ。子供を産んだことも育てたこともない私に刀の付喪神の子育てをしろと?
しかし、こんのすけは青ざめた私の不安を読み取ったかのように言葉を続ける。
「幼子の姿とはいえ膝丸様は刀剣の付喪神の一振り。人間の子供のように軟弱でもないし成長スピードも速いでしょうから、審神者様がご心配なさっているほど大変ではないと思います」
「いやそういう問題じゃないんだけど」
異議を唱えようとした私の声は部屋の入り口から呼びかけてきた鷹揚な声に消された。
「だとさ! 良かったなあ膝丸。我らが主様が君の母親代わりとなってくれるそうだ」
背筋が凍りついた。膝丸をだっこした鶴丸がにやにやと腹に一物ある笑顔を浮かべてこちらを見ている。ああ鶴丸め、確実にこの状況を楽しんでいる…。
よっこらせと鶴丸がショタ膝丸を床に下ろすと、膝丸はとてとてと私のもとに走り寄ってきて目を輝かせる。
「母様」
うっ、なんだこれは。膝丸は大きな瞳に私を映して期待するように見つめてくる。不意に胸を突かれるようなときめきを感じてしまって、やばい。これが母性というものか。まさか子供を産むより前に、それどころか結婚するより前に小さな男の子に母親呼ばわりされて胸がキュンとするなんて異常事態だが、この可愛さ、あまりのいたいけさになけなしの母性が揺り動かされてしまったとしても不思議ではない。
私が固まっていると、彼は首を傾げてもう一度、
「かあさま?」
さっきより呂律の回らない、若干不安そうな声で言う。
こんのすけと鶴丸がじっとりとした目で見つめてくる。こんなに可愛い幼子が母親と慕ってくるのに無視していいのか? と暗に責めているのだ。
私はぷるぷると葛藤しながらも結局目の前の膝丸の可愛さに負けた。
「…おいで」
両手を広げると彼はぱっと顔を華やがせ、私の胸に飛び込んできた。すっぽりと腕に収まってしまうサイズの膝丸が頬を擦り付けてくる。子供特有の甘ったるい匂いが鼻をくすぐる。
「母様、おれは母様をまもれるくらいつよくなるからまっていてくれ!」
いっぱしに威勢の良いことを言いながらぎゅーっと抱きついてくる膝丸はとても愛らしくて、母様と呼ばれる違和感も吹き飛んでしまった。よしよしと頭を撫でてやると幸せそうに顔をとろけさせる。ずいぶんと可愛い子供ができたものだ。
こうしてショタ膝丸の愛くるしさに心を撃ち抜かれ、鶴丸やこんのすけに上手く乗せられ、私は成り行きで膝丸の母親代わりとなってしまったのだ。
こんのすけの言う通り、膝丸を育てるのは一般的な子育て、つまり人間の子供の子育てをするよりは幾分手間がかからないようだった。最低な言い方かもしれないが、なにより目を離しても死なないというのが大きい。怪我や病気ですぐ命を落としてしまう人間の子とは違い、刀剣男士は多少の無理をしても手入れですぐ治ってしまう。それに私の執務中は手の空いている刀剣男士が面倒を見てくれるので、安心して膝丸を遊ばせておくことができた。むしろ刀剣男士たちは率先して膝丸にかまいたがり、子供好きな薙刀の彼を筆頭として大太刀や太刀、打刀の面々、さらには幼い容姿の短刀たちですら世話を焼いてくれる。心身共に幼児の刀剣男士なんて今までいなかったから珍しいのだろうし、無邪気な小さい子と関わることで戦場での緊張や疲労が癒されるのかもしれなかった。
日中は庭や大広間できゃわきゃわと楽しそうに遊んでいるので、私の出る幕がないくらいである。
私の出番が来るのは夜だ。
「……母様、いっしょにねてもよいか?」
片手に太刀を、片手に枕を引きずって私の寝室の戸を開けるのは今日に始まったことではない。短刀用の寝間着を切って短く誂えた着物を纏い、ちょこんと敷居の前に佇む彼は、私の返事があるまでちゃんと待っている良い子だ。
「いいよ。おいで」
答えると嬉しそうに布団に飛び込んでくる。ぽんと枕を置き、布団の横に太刀を寝かせ、自分は正座をしてこちらを見上げてくる。
「今日も絵本を読んであげようね」
するすると手触りのよい髪を撫で、長い前髪を耳にかけて目に入らないようにしてやると、膝丸はにっこりとうなずいた。品があって人懐っこいのは膝丸という刀剣の性質なのだろうか。たまに演練で見かける成人の彼はきりっと引き締まった固い表情をしていることが多いけれど、もしかしたら本当はこんなふうに甘えんぼさんなのかもしれない。
毛布を被って同じ布団に横になる。いつものように絵本を読み聞かせていると、次第に膝丸がとろんと目を閉じかける。軽く背中を撫でてやればぽかぽかと温かい子供の体温がさらに上昇していて、眠りかけているのが分かる。
今日はここまでだなと思って絵本を閉じたとたん、膝丸は眠い目をがんばって開き、首を振って不満の声を上げる。
「まだとちゅうではないか」
「でも膝丸、もう眠いでしょ? 続きは明日読んであげるから今日は寝ようね」
「ほんとうか?」
うんうんと頷きながら背中を叩いてやると、彼は目を閉じてこちらに擦り寄ってきた。小さな手で服にしがみついてくる。
「おやすみ」
「おやすみなさい、母様」
返事をするやいなや、目を閉じてすぅすぅと寝息を立て始める。心底可愛いなあと思いながらしばらく寝顔を眺めていた。こんな可愛い子もじきにあのお堅いかんじの美丈夫に育つのかと思うと、切ないような楽しみなような複雑な気分になってくる。
毎晩のように膝丸に添い寝してあげる日々が続いたある日、彼はいつになくかしこまって正座をした。
「母様にたのみがあるのだ」
たどたどしい口調で勿体をつけるのが可笑しくて、なに? と笑いながら聞いたが、次の一言に私は凍りついた。
「ちちをすわせてほしい」
耳を疑う。もし口にお茶を含んでいたら盛大に噴いていたところだ。
「なんだって?」
とんでもないことを言い出した割には、膝丸はひどく真面目な表情だった。むしろなんで私がそんなに驚いているのかと不思議がるようにすら見えた。
「ひとのこは母様にちちをのませてもらっておおきくなるのだろう? 」
小さいが賢い頭には日々新しい情報が詰め込まれているらしい。一体誰から、もしくはどこからその知識を得たのかは分からないが、素直な膝丸は早速得たばかりの知識を私に対して試してみようと思ったのだろう。好奇心が旺盛なのは良いことだが、自分が人の子でないことも、子供を産んだ女にしか乳が出ないこともまだ理解していないらしい。いくら賢いとはいえ教養についてはやはり見た目相応の幼子程度なのだ。少し落ち着きを取り戻した私は、そっと彼の目の前にしゃがんで肩に手を置く。
「あのね膝丸。私にお乳は出ないんだよ。それに膝丸は刀剣男士だからお乳を吸わなくても大きくなれるんだよ」
つり目がちな大きな瞳をぱちぱちさせ、彼はきょとんとこちらを見返す。
「膝丸は私の実の子供じゃないし、そもそも刀のつくもが」
「お、おれは母様のこどもではないのか?」
じわじわと潤んでいく瞳を見て、あれ私失言したかな? と思ったが時すでに遅し。膝丸の大きな目には瞬く間に涙が溜まり、今にも溢れんばかりとなった。
「う…っ、こどもでないならば、おれのことをどう思っておられるのだ…? あなたがおれにひとのからだをくださったのだろう…?」
ぼたぼたと涙を落とす膝丸を目の前にして私はパニックになる。
「いや、その、子供みたいなものだとは思ってるけどね、でも私が産んだわけじゃないからお乳は出ないよってことを言いたくて、あの」
「ううっ、おれにとっては、あなたがゆいいつの母であるのに…。にんげんでないという理由だけでほんとうの母子にはなれないのか…」
うつむいた膝丸の服には落ちた雫でいくつもの斑模様ができる。子供ながらに落ち着いている彼がこんなに泣くのは初めてのことで、私はどうしていいか分からなくなってしまった。
「ご、ごめんね、言い方が悪かったね…! 膝丸は私のだいじな子供…だから、心配しないでも大丈夫だよ! ちゃんと愛してるからね」
結局物理に頼ることにしてぎゅっと抱き締めれば、膝丸は泣き濡れた瞳で不安そうに見上げてくる。ぐすんと涙を飲み、目を拭ってこちらに向き直る。
「ほんとうか…?」
「うん、本当」
「ならちちをすわせてくれ」
どうしてそこにたどり着くんだ!! 喉元まで出かかった言葉を押し留め、頭の中で全力で突っ込みをする。拒否しようにも、うまいこと言い逃れの言葉を見つけないとまた膝丸が泣きだすかもしれない。
うーんうーんと悩んでいるうちに、また膝丸の目が潤み出した。
「やはりおれが実の子でないからいやなのか…?」
ああ…もう…。私は顔を片手で覆い呻き声を上げながらとうとう観念した。泣く子には勝てない。我が子同然の可愛い子供に強請られたのなら尚更だ。そもそもおっぱいくらいなんだ。母乳は出ないけど幼子に乳を咥えさせてあげるくらい出来なくてどうする。母の愛が試されているのだ。
寝間着の襟元をえいっと肌蹴る。下に身につけていた肌着をずり上げて、乳房を露出させた。
目の前に突如現れた双丘に膝丸は目を瞠る。話に聞いていたとはいえ実物を見るのは初めてなのだからびっくりしているのだろう。
「ほら…、ここだよ」
私は片方の乳房を手で支え、先端の膨らみを指し示す。まさか付喪神の幼児に乳の吸い方を指南することになろうとは誰が予想するだろうか? いくら幼子とはいえ血の繋がっていない、それも成長後は見目麗しい青年になることが確定している男児の目の前に乳房をさらけ出しているのだから、倒錯感は尋常ではなく顔から火が出るように恥ずかしい。
真っ赤になっている私の顔と乳房を交互に見やり、膝丸は「よいのか?」とおそるおそる尋ねてくる。ここまできたら引き下がることはできない。私はうなずいた。
膝丸の表情から悲しみの色は晴れ、今度は期待と緊張を浮かべながら私の胸に顔を近づける。薄い唇が中央の膨らみを咥える。先端だけ軽く吸われて、こそばゆい感覚が襲ってくる。
「ん…」
変な声が出そうになって慌てた。今私は幼子に乳を与えているのだ。えっちなシチュエーションではないのに性感を拾ってしまっては情け無さすぎる。
最初は軽く吸うだけだった膝丸だが、次第に口の中に咥えこんで熱心に吸うようになる。ちゅっちゅっと吸い上げる様は本当の赤ちゃんみたいで、こんな私でも母性が湧き上がってくる。
「美味しい?」
母乳なんて出るはずもないから気になって聞いてみると、彼は口を離してうなずいた。
「こうしてすっていると、母様のれいりょくがはいってくるのだ」
「そ、そうなの……」
こんのすけの『スキンシップを通して霊力を与えることができる』という言葉が事実なら、膝丸はいま母乳の代わりに霊力を吸い上げているのだと理解できる。なるほどね…。上手い話もあったものだ。
小さな手を私の脇に回し、抱きついて乳を吸っている膝丸を見ていると、我が子の健やかな成長を願う母のような幸せな気分になってきた。しばらく乳を吸わせたままだっこして頭や背中を撫でているうちに、彼の体から力が抜けてきた。おや、と思って顔をのぞきこむと、目を閉じて寝息を立てている。
乳に吸い付きながら眠ってしまうなんて本当に赤ちゃんみたいだな、と笑いながら膝丸を布団に寝かせてやろうとしたが、いくら引っ張ってみても動かない。離れないのだ。寝ながらも彼はしっかりと私の乳を咥え背にしがみついている。
(うーん…このままだと私はおっぱいをさらけ出したまま寝ることになるんだけど…)
いや、さらけ出すどころではなく、吸われたまま一夜を明かすことになる。乳首がふやけてしまうよ…。しかしどうにもならないものはどうにもならない。寝た子を起こすような真似はしたくない。結局私は膝丸に乳を咥えさせたまま布団に潜り、剥き出しの胸が少しでも寒くないように膝丸の体を湯たんぽ代わりに抱き寄せて眠りについた。
まだこの頃は単なる幼子の甘え癖だと思って特に気に留めることもなかった。故に、この日以降たまに彼が抱きついて乳を求めてきてもまあ仕方ないかと寛容していたのだった。
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